解体工事業の在り方

解体屋でひとり不動産屋の日常

解体工事業者のWEBサイトなどを見ていると思うこと。
大手業者の宣伝文句と小規模業者の実情を交えて見解をお話します。

自社部隊以外の施工は信用出来ない?

自社部隊以外で施工している解体業者は悪質業者もしくは頼まない方が賢明という言葉を見ることが多いです。
どういう意味合いで言っているのかは同業者にはわかります、一般の方への注意喚起されているのだと思いますが誤解の無いようにお願いしたいと思います。

小規模業者から見た現状

地元地域の状態しかわからないことを前提としておきます。
大手の解体業者の工事では、件数が多くそのいくつかは下請けの解体業者がすべて施工していたり、重機解体部分だけを自社部隊で行い手作業の内装解体や分別作業は下請けがしていたりします。

これは自社施工と言うのでしょうか?
私は自社施工以外すべてが悪質業者や頼むと危ない業者とは思っていません。小さな解体業者なのでそんな事をしていたら取引先や施主様に迷惑を掛けてしまいます。

小さな解体業者の実情

解体業界では一人親方として働く人も多く、2~3人でしている会社や個人事業主が増えています。
解体業界では能力や責任感の強い人ほど独立する傾向が強いです。これにより大手解体業者の下請けとして受注することに繋がり地域の解体工事が回っている側面もあるのだと思います。

弊社でも同様に工事を手伝ってもらっています、ですが下請けというより小規模同士がチームを組み一緒に取り組んでいるような感じです。
小規模だから助け合いが必要ですし上下関係ではなく横の関係性、役割分担のような形で行っています。能力や責任感が強い人ほど独立するように小規模同士が組むことで工事の質を上げられ細かな配慮にまで行き届く工事を行えていると考えています。

人材不足の問題は原因解決も大事な事ですが、現状大事なことは喜ばれる工事の提供をするためにどうしていくかではないでしょうか?
どこも人手が足り中で有能な人材を数多く集める事は不可能に近いです、それよりも有能な人材の小規模同士を集めてより多くの工事を提供していく方が有益ではないでしょうか。

当然様々なクリアしないといけない問題はあります、許可の有無や責任の所在、保険などしっかりと整備した上で行うことが重要です。

石綿含有建材事前調査

解体工事費に占める金額でも大きな費用だと思います。調査費自体は格安でも問題ないですが、含有の有無を調べる分析費は大きな費用が掛かります。
これも地元地域のことしかわからないとした上で、1検体の分析費が2万~3.5万掛かります。建物を解体する場合、当たり前に10検体以上分析が必要になります。
自社で分析許可が無い場合、20万~35万以上掛かる内容です。

この辺りの費用に関する事も周知していかないとと思います。費用が大きくなる作業なので省略されていたりするのを聞きますがそれでは違法です。費用が大きく掛かるにも関わらず「工事費に含んでいる」など明記されていない時は注意した方が良いかもしれません。

解体工事はその通り解体して建物が無くなった状態が完了です、その性質から後から実施することが出来ません。工事が行われる前に遵守するものは遵守するの徹底が必要です。

相見積もり

相見積もりは決して悪いことではありません、しっかりポイントを抑えていれば損をせず安心な工事が出来ます。

よくある間違い

1.見積り総額しか見ずに安い方を選ぶ
見積書の大事な部分は内訳書です、必要な内容が記載されているか?比べる見積書が同じ内容になっているのか?最低限この部分は確認しましょう。

2.見積りの依頼先
見積もりを依頼している先は解体業者ですか?もし建築会社や不動産業者なのだとしたら入口が間違っています。
解体業者の見積書以前に建築会社や不動産業者の手数料で価格が変わりますし、解体業者へ直接見積もりを依頼すればそもそも手数料がなくなります。
一括査定サイトも楽に数社から見積もりが取れますが違う意味で注意が必要です。解体業者が複数相見積もりで競うので価格は低くなりがちですが、勝ち取る為に無理な価格提示した上に一括査定サイトへ手数料の支払いもあるので解体業者の負担は大きく工事の品質を担保するのが難しいように思います。

3.見積りを依頼する業者の規模
CMやネット検索では大手の解体業者へ目がいきます。当然大手の解体業者から見積もりをとることも問題ありません、ですがせっかくの相見積もりをとるのであれば小規模な解体業者からもとってみてください。
1.で説明した内容は抑えてある前提ですが大手と小規模共に強みは有ります、物件の状況によっては費用だけに限らず工事内容の得手不得手も有りますから。
どちらにしても必ず必要な内容や許可を確認することが大切です。

安心して発注の出来る解体業者として

解体工事業は他社との差別化は中々難しいように思います。完了後には無くなっていますし、工事前の案内や飛散防止処置、近隣に優しい施工など差別化というより当たり前に必要なことです。
ただ現状その当たり前に必要なことを省略する解体業者がいるのも事実で、少なくとも当たり前を当たり前にする解体業者でなくてはと思います。

小規模解体業者なので小規模としての最善な考え方になりますが、有能で責任感が強い小規模同士が多く集まり大きなチームを作り適材適所で分担しながら工事に携わっていけば強いグループが出来るのではと思います。建物の解体からCB塀などの部分解体や内装解体に至るまで提供出来るものは大きくなります。

人手不足の現状人材の確保からみても現実的な取り組み方ではないかなって思います。ひとつの会社で良い人材を多く集めるのは現実的ではありませんが、良い小規模業者で集まるのはそこまで難しいことではありません。
強いグループになれた先にグループ会社化など選択肢が生まれてきたら完全自社施工も見えてくるのかもしれません。

まとめ

解体業者として今の現状今後の展望などお話してきましたが、日々大切にしているのは発注してくださる取引先や施主様へ提供できる価値の最大化です。単純に「ありがとう」「また頼むね」「良かったよ」などの声をもらえる為に頑張っていますし、迷惑を掛けることの無いように必要な許可や保険、法令順守を徹底しています。

まだまだ元請として一般の方からの受注は少ないですが、少しづつ増やしていくことで更に多くの良い小規模業者とも繋がり共に伸びていけるように頑張っていければと思います。

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